じんわりほっこり

お昼ご飯のとある店。

食券を買って、自分のができたらトレイで店内に運ぶ。
空いている席を見つけていたたきます、のスタイル。

最近のこういうところは二極分化されてると思うのだ。
席を確保してから注文してね（食券買ってね）というところと、席確保は基本ＮＧで先に食べ物をゲットして空席を見つけてねっていうところ。
私が入ったところは後者。
待っている人がいなかったので、あっという間に注文したものができました。
トレイを持って席を探すと…なかった。
んーと、どうしようかな。
すると二人テーブルをふたつくっつけて四人座れるようにしてあるところで食べていた男女二人連れが、空いている二人テーブルを移動して座れるようにしているのが目に入る。
おぉありがたや…と思った。

実はそれは私にしてくれたのではなかったの。
私の前に同じく席を探していた婦人にしてくれてた行動なのです。
その婦人はとなりの二人掛けで一人で食べている男性に相席させてもらうと座った瞬間だったのでした。
ポカっと空いたテーブルひとつ。
座ってもよいですか？と尋ねてから、うなずくご夫婦に会釈して着席。
私の前の席は、どなたかきたら相席どうぞ、というつもりで。

急にこしらえた私のテーブルは箸ケースなしなので、先に座った婦人に頼んで箸を取らせてもらう。
そこから手品のような時間がやってきた。
テーブルを移動してくれた二人連れ、この時点で夫妻だと確信したんだけど、その夫妻が自分たちのところにあった紙ナプキンと調味料を全部私の席に移動してくれた。
それから穏やかにこれからの予定を話している。
全てが自然な所作。
なんのてらいもない。
そして食事が終わるとさっと立つ。
ぱっと移動したので奥に座ってた奥さんが出られる隙間のないテーブルを私が歩けるくらいまで離したら、優しい声でありがとうっておっしゃる。
こちらこそです！

当たり前といったらそうなんだけどさ。
自然にこういうことができる性質の人と袖すりあえたありがたみがしみた。
このあとの全ての時間が夜寝るまで、じんわりとあったかくなったんだもの。
こういう人に私はなりたい。